橘真一の「映画ア・ラ・カルト」(1)
この記事は、2015年7月13日(第 2 号)に掲載された記事です。
不動の映画好き。です
地元に根差した映画好き、とプロフィール欄に記し、某ファッション情報誌に映画ページの連載を持たせて貰っていたのがほぼ四半世紀前。橘真一のペンネーム、まさかの復活です。
その後、映画好きと本好きが高じて映画書中心の古本屋の経営をしたりしましたが、映画館で映画を観る楽しみはずっと変わっていません。
観る本数も四半世紀前のレベルと全く同じ。更にその少し前からやっている映画を語る会の楽しみもそのまま持続しています。
大作よりもインディーズ、絵空事よりもしみじみ人生、こけおどしCGよりも繊細アート、そして社会性のある内容の映画を好んでいます。
そんな息の長〜い映画好きが今年の上半期を終えて印象に残る作品と言えば、まずは「味園ユニバース」。監督の山下敦弘は、2年前に前田敦子のイメージを覆した「もらとりあむタマ子」という快作を作った才人です。この「味園ユニバース」も関ジャニ∞の渋谷すばるを主演に、他にあまり類のない映画に仕立て上げています。彼の事を知らなかった私がその魅力にはまってしまったという事実だけで、作品の質の高さがわかって貰えるでしょうか。
「トラッシュ!/この街が輝く日まで」もよかった。リオデジャネイロのスラム街を舞台に、少年3人が犯罪に巻き込まれて行く話ですが、暗い映画ではありません。少年たちの逞しさや明るさが、未来の希望を感じさせて救われます。ブラジル人の製作者とイギリスの名監督のタッグが傑作を生み出しました。
どちらもタイトルを頭の片隅に入れておいて、いつかDVDででも見てください。
今後公開される作品では8月の「フレンチアルプスで起きたこと」というスウェーデンの映画が素晴らしいのですが、封切り日が近付いたらまたその時にでも紹介します。